ABAいしかわトピックス

2020年1月1日

北陸信越運輸局石川運輸支局 支局長 橋本 俊二 新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
石川県自動車車体整備協同組合並びに会員の皆様には、ご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
皆様には、平素から国土交通行政並びに当運輸支局の業務につきまして、格別なるご理解とご協力を頂いておりますことに厚く御礼申し上げます。
令和2年の新春を迎えるにあたり、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

さて、昨年を顧みますと、元号が平成から令和を迎え、我が国も大きな変化を予感させる新たな時代のスタートとなりました。
10月には消費税増税に伴い日本経済全体がその対応に追われ、自動車業界においても自動車取得税の廃止並びに環境性能割の導入等の自動車関連税制対応が実施されましたが、少なからずその影響を受けることとなりました。
また、9月から10月にかけては観測史上最強クラスの令和元年台風15号及び19号が日本列島を縦断し、関東地方を中心に広い範囲で甚大な被害をもたらしました。特に19号では、北陸信越運輸局管内の長野県並びに新潟県では甚大な被害をうけており多くの整備事業者の皆様も被災しております。
幸いにも石川県内では、大きな被害は報告されませんでしたが、改めまして、非常時対応の重要性を痛感したところであり、行政機関として状況に応じた関係機関との連携や適切な情報提供等、今後もさらなる危機管理体制の構築に努めてまいります。

最近の我が国の経済は、緩やかな景気の回復基調が続いており、石川県内の経済情勢も雇用情勢の改善が続くなかで、緩やかな拡大傾向を継続しています。
自動車整備業界におきましては、日整連が発表した平成30年度自動車整備業実態調査によりますと、総整備売上高は約5.5兆円と前年度と比べると420億円増と2年連続で増加しております。
このような状況の中、課題としましては、自動車の使用期間の長期化、自動車技術の高度化への対応などがありますが、これらにより、自動車整備業の役割は今後ますます重要になっていくものと考えます。
自動ブレーキなど、先進的な安全装置を搭載した自動車が急速に普及し、また、更にその先には、自動運転の実現も見据えられているところです。これらの新技術が確実に機能を発揮するためには、適切な修理、整備が求められることは言うまでもありません。
これら新技術への対応が求められ、とりわけ車体整備業界においては、超高張力鋼板等の新素材への対応も求められるなど、より高度な知識・技術の習得とともに、最新の整備機器の導入が必要不可欠となります。また、昨年5月24日には道路運送車両法を改正し、整備工場等が新技術に対する環境を整備するため、一定の能力を有する「特定整備工場」を認証する制度や、自動車メーカーに対して整備マニュアルの提供を義務付けることとする等、業界全体が大きな転換期を迎えているところです。
国土交通省では、中小企業等経営強化法に基づき、整備事業者で利用しやすい経営指標を規定した事業分野別指針が策定し、本指針に基づき経営力向上計画を策定し認定を受けると、法人税や所得税の特別控除や金融支援が受けられ、平成25 年度から汎用型スキャンツールの導入補助も実施しております。
本制度をはじめとした各種支援策を有効に活用していただきたいと思います。

自動車整備業界における大きな課題として人材不足への対応があげられます。近年の少子高齢化や若者のクルマ離れ等により、自動車整備士養成施設の学生数が減少しており、厚生労働省の「職業安定業務統計」によると、自動車整備要員の有効求人倍率は、平成23年度の1.07から平成30年度には4.46に達しています。
このことから、自動車整備の仕事について高校生の理解向上を図り、就職する若者を確保するため、貴会と連携して県内の高等学校を直接訪問し、自動車整備の仕事の社会的重要性・将来性について説明を行い、進路指導の際に整備の仕事を選択肢として紹介していただけるよう取り組みを進めてきたところです。
この問題は自動車の安全・環境を支える整備事業の基盤を揺るがすおそれがあることから、今年も引き続き取り組みを展開してまいります。
また、外国人材の受入れとして、昨年4月に、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材の就労を目的とする新たな在留資格 「特定技能制度」が創設され、自動車整備分野においても、全国では、特定技能の在留資格が許可されています。今後、特定技能制度を活用した外国人材の受入れの増加が期待されるところです。

不正改造車等に対する取り組みにつきましては、安全を脅かし交通秩序を乱す不正改造車や整備不良車が後を絶たず、苦情等も多く寄せられている状況です。また、公道での定点調査の結果、公道を走行する自動車のうち約0.27%が無車検運行をしているとみられています。
これらの車両を排除するため、引き続き独立行政法人自動車技術総合機構と連携し、警察、自動車関係団体等の皆様のご協力を得ながら、街頭検査を積極的に実施してまいります。

タカタ製エアバッグに係るリコールについては、これまでも、未改修車に対して車検時に警告文の交付を行う等の改修促進の取り組みを行ってきました。整備事業者の皆様にご理解とご協力をいただき改修が進んでいることに心から感謝申し上げます。さらなるリコール改修を促進するため、未改修車両を車検で通さない措置の対象車両を令和2年5月1日より順次拡大することを検討しております。
皆様におかれましては、本制度の趣旨をご理解いただき、ユーザーの皆様の安全を確保するため一層のご協力をお願い申し上げます。

自動車整備事業場の環境対策への取り組みとしましては、昨年の「環境に優しい自動車整備事業場等の表彰」については、1事業場が北陸信越運輸局長表彰、4事業場が当運輸支局長表彰を受賞されるなど、企業としての社会的責任を果たして頂いていることに敬意を表すとともに、感謝申し上げます。
今後も貴会を中心に弛まぬご努力を続けていかれますようご期待申し上げます。

以上、新しい年の展望と、課題への取り組みについて述べさせて頂きましたが、本年も石川運輸支局といたしましては、皆様のご協力を頂きながら、ユーザーによる自動車の適切な保守管理を推進し、安全で快適な「くるま社会」の形成と自動車整備業界の健全な発展に向けて努力して参る所存でございます。
結びにあたり、石川県自動車車体整備協同組合並びに会員各位の益々のご繁栄とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年も、どうぞよろしくお願いします。