ABAいしかわトピックス

2019年1月1日

北陸信越運輸局石川運輸支局 支局長 松本 英二 新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
石川県自動車車体整備協同組合並びに会員の皆様には、ご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
皆様には、平素から国土交通行政並びに当運輸支局の業務につきまして、格別なるご理解とご協力を頂いておりますことに厚く御礼申し上げます。
平成31年の新春を迎えるにあたり、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

さて、昨年を顧みますと、2月上旬にかけて発生した強い寒気により北陸地方を中心に大雪となり、北陸自動車道や主要幹線である国道8号線の通行止め措置の影響により、県内の物流は大きく乱れ、自動車業界も含め県内経済にも大きな影響を及ぼしました。
また、9月に入り立て続けに発生した大型の台風の列島縦断の影響により、石川県内においても強い風雨が発生し、大きな被害には至らなかったものの、県内各地に避難勧告が発生する事態となりました。9月4日には、金沢市の避難勧告の発令を受けて、石川運輸支局においても業務休止措置を取らせていただいております。
これら県内災害のみならず昨年発生した災害を振り返ってみますと、私ども行政機関と致しましては、状況に応じた関係機関との連携や適切な情報提供等、非常時対応の重要性を痛感しており、今後もさらなる危機管理体制の構築に努めてまいる所存です。

県内の経済動向については、緩やかな拡大傾向を継続しており、とりわけ石川県は北陸新幹線の開通により交通的利便性が向上し、歴史ある伝統文化と豊富にある観光資源を背景に、すでに魅力ある観光地としての地位を確立していると言えますが、今ある観光資源をさらに磨き上げるといった取り組みも重要になっていくものと思います。
こういった観光開発とともに、国土交通省として地域振興を図る取り組みといたしまして、昨年10月より、地方の風景や観光資源を図柄とした「地方版図柄入りナンバープレート」の交付を開始しており、「走る広告塔」としての役割を担ってくれているところです。
北陸信越運輸局といたしましても、地域の皆様と連繫しながら、地域振興に資する取組を推すめてまいります。

自動車整備業界におきましては、自動車の平均使用年数は、乗用車で8年を超え貨物車では13年を超える状況にあり、今後さらに延びる傾向にあります。このように使用年数の増加傾向が続く状況においては、長期使用に合わせた点検整備の果たす役割は益々重要となってきます。
また、安全で環境と調和のとれた「くるま社会」を形成していくことが喫緊の課題とされており、電気自動車や先進安全自動車の普及・開発が急ピッチで進んでおり、これら新技術への対応が求められ、とりわけ車体整備業界においては、超高張力鋼板等の新材料への対応も求められるなど、より高度な知識・技術の習得とともに、最新の整備機器の導入が必要不可欠となる等、業界全体が大きな転換期を迎えているところでございます。

このような状況の中、皆様におかれましては自動車整備事業場の環境対策への取り組みとして、「環境に優しい自動車整備事業場等の表彰」制度を活用して、北陸信越運輸局長表彰、当運輸支局長表彰を受賞されるなど、企業としての社会的責任を果たして頂いていることに敬意を表すとともに感謝申し上げます。
今後とも、多様化・複雑化する社会情勢や利用者ニーズに対応するとともに安全確保や環境保全のため、貴会の組織を中心に、弛まぬご努力を続けていかれますようお願い申し上げます。

自動車の整備と保守管理の取り組みにつきましては、依然として大型車の車輪脱落事故や、車体腐食による事故も発生しており、スペアタイヤ脱落による他者を巻き込む事故がマスコミ等でも大きく取り上げられたことにより同装置を含む点検基準の改正が行われたところです。ユーザーへの周知徹底にご協力願います。
また、タカタ製エアバッグに係るリコールについては、これまでも、未改修車に対して車検時に警告文の交付を行う等の改修促進の取組を行ってきました。しかしながら、今なお多くの未改修車があり、一刻も早い改修が必要な状況です。このため、未改修車のうち異常破裂の危険性が高い車両について、昨年5月以降の継続検査等で自動車検査証の有効期間を更新しない措置を講じているところです。国土交通省としましても、自動車ユーザーに対する情報提供、啓蒙に努める所存ですが、引き続きご協力の程、よろしくお願い致します。

不正改造車等に対する取り組みにつきましては、安全を脅かし交通秩序を乱す不正改造車や整備不良車が後を絶たず、苦情等も多く寄せられている状況です。また、公道での定点調査の結果、公道を走行する自動車のうち約0.27%が無車検運行をしているとみられています。これらの車両を排除するため、引き続き独立行政法人自動車技術総合機構と連携し、警察、自動車関係団体等の皆様のご協力を得ながら、街頭検査を積極的に実施して参ります。
また、昨年度より可搬式のナンバー読取装置を街頭検査に導入し、無車検運行車両の早期発見にも努めております。

自動車整備業界における大きな問題としましては、近年の少子高齢化や若者のクルマ離れ等により、自動車整備士養成施設の学生数が十年前のおよそ半分にまで減少しており、整備要員の人材不足が懸念されております。
このことから、自動車整備の仕事について高校生の理解向上を図り、就職する若者を確保するため、貴会と連携して県内の高等学校を直接訪問し、自動車整備の仕事の社会的重要性・将来性について説明を行い、進路指導の際に整備の仕事を選択肢として紹介していただけるよう取り組みを進めてきたところですが、この問題は自動車の安全・環境を支える整備事業の基盤を揺るがすおそれがあることから、今年も引き続き取り組みを展開して参ります。
また、国土交通省では、国民負担の軽減及び行政事務の効率化を図るため、オンライン申請による自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)化を推進しています。
継続検査については、利用率も増加してきており、実際にOSSを導入した事業場では、事務作業時間の短縮、経費の大幅削減などが実現したとの報告もされております。
生産性の向上が自動車整備業界全体の課題となっていることは間違いないところでございますので、皆様の事業場におかれましても、OSS導入を含めた各種対策のご検討をお願いします。

以上、新しい年の展望と、課題への取り組みについて述べさせて頂きましたが、本年も石川運輸支局といたしましては、皆様のご協力を頂きながら、ユーザーによる自動車の適切な保守管理を推進し、安全で快適な「くるま社会」の形成と自動車整備業界の健全な発展に向けて努力して参る所存でございます。
結びにあたり、石川県自動車車体整備協同組合並びに会員各位の益々のご繁栄とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年も、どうぞよろしくお願いします。