ABAいしかわトピックス

2022年1月1日

北陸信越運輸局石川運輸支局 支局長 梁取 利男 新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
石川県自動車車体整備協同組合並びに組合員の皆様には、ご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
皆様には、平素から国土交通行政並びに当運輸支局の業務につきまして、格別なるご理解とご協力を頂いておりますことに厚く御礼申し上げます。
令和4年の新春を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

新型コロナウィルス感染症の影響が長期にわたる中、社会経済や国民生活は甚大な影響を受け、全国の緊急事態宣言及びまん延等重点措置解除後も、交通・観光分野では依然として厳しい状況が続いています。
このような大変厳しい状況下でも自家用車等の整備により、国民の生活基盤を維持するエッセンシャルワーカーとして献身的に責任を果たしていただいている自動車整備業に携わる皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。

さて、乗用車は2035年までに新車販売で電動車を100%とする目標が設定されるなど、電動車や自動運転車に係る技術開発が進むとともに、これらの普及が進んでいます。このように、自動車技術の進展に伴い、自動車整備事業の重要性はますます増加しておりますが、先進技術への対応、人材不足といった課題もあります。
北陸信越運輸局では大きく変化する暮らしを支え、すべての皆様が安全・安心な豊かな生活を送ることができるよう地域の関係者と連携しながら様々な重要な施策に取り組んでいます。石川運輸支局としても整備事業者の皆様に引き続き重要な役割を果たして頂くため、これらの課題を解決できるよう、関係者の皆様とともに積極的に取り組んでいく具体的課題、施策について以下のとおり申し述べます。

一つ目は自動ブレーキなど、先進技術への対応です。自動運転の実現は交通事故の減少や地方における移動手段の確保などの課題解決に大きな効果を発揮するものとして期待され、大学における自動運転技術の研究、民間と自治体の連携による無人自動運サービスの導入の検討が進められています。
今や、国産メーカーの製造する乗用車の約9割以上に衝突被害軽減ブレーキが搭載されており、これら先進技術を搭載した自動車について、ユーザーが安心して整備を依頼できる環境を整えるため、令和2年4月からは整備を行う際に認証取得を義務付ける特定整備制度を施行しております。これらの先進技術については、今まで以上に予防的な点検整備が重要になりますので、制度の円滑な実施に向けて認証の早期取得など、ご協力をお願いします。
とりわけ車体整備においては、このような先進技術に関連した各種センサーの取り外し、取り付けに当たってスキャンツールを使用することが必須となる作業が増加することとなります。また、超高張力鋼板等の新素材への対応も求められ、整備作業に必要となるより高度な知識・技術の習得とともに、最新の整備機器の導入が必要不可欠となっており、業界全体が大きな転換期を迎えているところです。
また、自動運転技術等に用いられる電子装置の機能を確認するため、令和6年10月以降の継続検査において、車載式故障診断装置を活用した自動車検査(OBD検査)を開始するため、昨年10月以降、情報の管理に必要な手数料を自動車技術総合機構に納めて頂いております。現在、OBD検査に必要となるアプリケーションソフトの開発や検査実施者の習熟等を目的としたプレテストの実施など、自動車技術総合機構を中心に運用開始に向けた準備を進めており、円滑な導入に向けた環境整備を進めてまいります。

二つ目は自動車整備業界における大きな課題である人材不足への対応です。近年の少子高齢化や若者のクルマ離れ等により、自動車整備要員の有効求人倍率は厚生労働省の「職業安定業務統計」によると、令和2年度には4.50に達しています。
このことから、自動車整備の仕事について高校生の理解向上を図り、就職する若者を確保するため、関係機関等と連携して県内の高等学校を直接訪問し、自動車整備の仕事の社会的重要性・将来性について説明を行い、進路指導の際に将来の選択肢として紹介していただけるよう取り組みを進めているところです。整備人材の不足は、重要性を増している整備事業の基盤を揺るがすものであり、早急に効果的な対策を講じる必要があることから、高校訪問などを継続するとともに、ポスター等による女性や若者の整備士に対するイメージの向上のための周知等の実施に取り組んでまいります。
令和5年1月からは、継続検査等への自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)申請を行ってもなお残る自動車検査証の受け取りのための運輸支局等への来訪を不要とするため、電子車検証の導入や検査標章の交付等を国から委託する制度が創設されることとなりました。本制度の導入により、車検証更新手続きの効率化が図られ、事業者の皆様の負担が軽減し、生産性が向上すると考えております。
また、申請者の皆様の利便性をより一層向上させるため、支払い窓口業務のキャッシュレス化等についても検討が進められております。

三つ目は自動車の点検整備等の実施にかかる対応です。自動車の不具合による事故の防止や環境保全を図るため、自動車ユーザーは自動車の点検・整備が義務付けられていますが、その実施状況は乗用車で6割程度にとどまるなど、決して十分に実施されているとはいえない状況です。また、自動車の高度化が進展していく中、その性能を維持し安全性を確保していくため、昨年10月から車載式故障診断装置(OBD)の診断の結果が12月毎の定期点検項目に追加され、点検整備の重要性は増加していると考えております。加えて、大型車の車輪脱落事故発生件数については、令和2年度の全国の発生件数が131件と近年増加傾向となっている状況を踏まえ、昨年10月にとりまとめた緊急対策に基づき、関係団体の皆様とともにこれらの事故を撲滅するための周知活動等に取り組んでまいります。
また、車検切れ車両による運行は安全上の問題があるほか、自賠責保険が切れている可能性も高いことから、独立行政法人自動車技術総合機構と連携し、警察や自動車関係団体等の協力を得ながら行う街頭検査に、「ナンバー自動読取装置」を導入し車検切れ運行車両対策にも取り組んでいます。
このような中で、自動車ユーザーとの信頼を築き、自動車のよきアドバイザーとして保守管理の重要性を伝えていただくことの意味は益々大きくなっています。
本年も点検整備推進運動等を通じてユーザーの保守管理意識の向上を図ることしておりますので、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

自動車整備事業場の環境対策への取り組みとしましては、昨年の「環境に優しい自動車整備事業場等の表彰」については、1事業場が北陸信越運輸局長表彰、2事業場が当運輸支局長表彰を受賞されるなど、企業としての社会的責任を果たして頂いていることに敬意を表すとともに、感謝申し上げます。
今後も貴組合を中心に弛まぬご努力を続けていかれますようご期待申し上げます。

以上、新年を迎えるにあたり、課題への取り組みの一端について述べさせて頂きました。
本年も石川運輸支局といたしましては、皆様のご理解とご協力を頂きながら、ユーザーによる自動車の適切な保守管理を推進し、安全で快適な「くるま社会」の形成と自動車整備業界の健全な発展に向けて努力して参る所存でございます。
結びにあたり、石川県自動車車体整備協同組合並びに組合員各位の益々のご繁栄とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年も、どうぞよろしくお願いします。